アニメーション研究のための
論文と書籍のデータベースサイト

アニメ聖地巡礼による空間価値の創出:アート・ワールドにおける背景美術の躍進と能動的オーディエンスという視点から

アニメ聖地巡礼の世界的な人気を背景に、その経済効果を期待している地域社会も多い。本研究の目的は、アニメ聖地巡礼がアニメーションをめぐるアート・ワールドをいかにして地域社会のなかで拡張していくのか、検証することである。まず、ロケハンや遠近法の開発を事例に、キャラクターだけでなく背景美術への着目度が高まったことを明らかにした。つぎに、能動的オーディエンスは、聖地巡礼の興隆以前からアニメーションの視聴にとどまらない消費を雑誌上で行ってきたことを指摘した。背景美術が着目されることで、聖地巡礼が盛んにおこなわれるようになったが、それは日常のありふれた場所であることも多い。現実空間と作品を結びつけることで、そこに新たな文化的価値が創出される。アニメーションをめぐるアート・ワールドが地域社会と重なり合いながら醸成していくことで、開発によって失われていた地域社会における中心が取り戻されようとしている。

  • タイトル(英語)
Creation of Spatial Value through Anime Pilgrimages: From the Perspective of the Breakthroughs of Background Art and the Active Audience in the Art World.
  • 発表年
2023年
  • 著者
  • 掲載誌
アニメーション研究
  • 掲載誌巻号
23(1)
  • 掲載誌ページ
89-100
  • 掲載誌ウェブページ
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjas/23/1/23_A-21-026-R1/_article/-char/ja
  • キーワード

関連する一覧